はじめての老人ホームガイド

認知症とは?また、認知症介護の現状とは?

老人ホーム,介護施設

はじめに

現在日本では認知症の人の数が500万人を超え、65歳以上の高齢者の約7人に1人が認知症であると言われています。認知症は今、とても身近なものとなりTVなどでもたくさん取り上げられている為、見たり聞いたりする機会も多く、勉強されていてとても詳しい方もたくさんいらっしゃいます。
そんな認知症介護の現状を専門職の立場から多くの方に理解をしていただき、より良い支援ができるように考えていきたいと思います。

1.認知症とはどんな病気か

認知症とは

物忘れ(記憶障害)や場所や時間がわからない(見当識障害)などの認知機能の障害により、日常生活や社会生活に支障をきたす状態のことを言います。

認知症介護をより良い支援にするには、認知症という病気をよく理解することが大切です。
一般の物忘れとの大きな違いは、食事を例にあげると、何を食べたのかを忘れてしまうのではなく、食べたこと自体を忘れてしまい、また忘れてしまったという自覚がないということです。

一緒に生活をしている家族が気付かずに、支援をしている現場の職員などが異変に気がつくケースもあります。そして、一言で認知症と言っても、その原因で出現する症状、進行具合なども変わってきます。
認知症を引き起こす代表的な種類はアルツハイマー型認知症が約半数以上を占め、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、その他とあります。

アルツハイマー型認知症

アミロイドβタンパクという物質の蓄積により起こり、女性に多く、緩やかに進行していくのか特徴です。

脳血管性認知症

脳梗塞や脳出血が原因で起こり、傷害された部位により症状が変わり、出来る時と出来ない時がまだらでみられ、段階的に症状が重くなっていくのが特徴です。

レビー小体型認知症

レビー小体が脳の神経細胞を壊しすことで起こり、男性に多く見られています。調子の良い日と悪い日の差が大きく、パーキンソン症状を伴うのが特徴です。

2.認知症の主な症状

実際に認知症になると、大きく2つの症状が現れます。

中核症状

原因疾患により障害されることによって、必ず出現する症状

BPSD(行動 心理障害)

2次的なもので、周囲の接し方や、環境の変化などが影響して現れるもの

中核症状には記憶障害(新しいことを覚えることができない)や見当識障害(時間、場所、人などの見当がつかない)などが見られますが、実際の現場では、この中核症状だけでは大きな負担や問題にはなりづらく、そこに性格、身体の状況、環境、心理状況などの要因が重なることで、BPSDと言われる行動 心理症状が現れます。
BPSDには(行動症状)暴力、暴言、徘徊、拒絶、不潔行為(心理症状)抑うつ、不安、幻覚、妄想などがあげられ、こうしたBPSDが出現することにより、介護の現場は大きな負担を抱えることになります。ただしこのBPSDは中核症状とは違い、必ず認知症の方全員に現れるわけではありません。

上記のような様々な要因が重なることで現れます。逆に言えばその要因、原因となるものを取り除いてあげることで抑えることもできるということです。

3.BPSDの出現によって起こる本人や支援者の苦悩

認知症になり物忘れが始まると、日常生活に困ることが起きたり、中々言葉が出てこなかったりと自分を失っていく恐怖に襲われます。
そしてそれがBPSDを引き起こすということになっていきます。
私たち専門職でも毎日の関わりの中で、いろいろなお話を聞いたり、職員同士、家族と話し合いを重ね、相談しながら試行錯誤して環境の改善を行っています。
家族の介護では感情的にもなりやすく、先の見えない不安からどうすればいいのかわからなくなってしまい苦しんでいる方がたくさんいらっしゃいます。
たとえ認知症になってしまっても、感情を失うことはありませんので、落ち着いている快の状態と不快の状態を行ったり来たりしています。
その不快の状態になってしまっている原因を知る為に、その方の今まで生活してきた習慣や性格、病気、心身の状態などを良く知り、何が原因となっているのかを見つけて取り除いてあげてください。

1人1人合うこと合わないことがありますし、今日は良くても明日はダメかもしれないということもあります。不快な感情は残りやすく、それがストレスにもなりますし、症状の悪化にもつながってしまいます。
支援する側ができる範囲で本人に合わせながら、継続して支援していくことが大切です。
そしてもう1つ大切なことは、1人で抱え込まないということです。

現在は各市町村などでも相談機関や専門の医療機関、認知症介護をしている人同士のコミュニケーションの場など様々な情報の提供や取り組みを行っています。そうしたことを利用し相談したり、ケアマネージャーに相談をして介護保険サービスを使うことで、負担を減らすこともできます。
支援者の負担が大きくなり、支援の質が低下すれば症状が悪化してしまうという悪循環にもなってしまいます。

ただし、皆さんが積極的にそうしたことに参加したり相談できるわけでは無いと思います。
頭ではわかっていても、(迷惑をかけるんじゃないか)(恥ずかしい)などネガティブな思いがそういったことから遠ざけてしまうことがあるかと思います。
認知症の本人や介護されている家族が中々自分から心を開くことができないこともあるという事もある。ということを専門職の私たちも十分理解し、信頼関係を作って行かなくてはいけないと思っています。

4.認知症の対応で必要なこと

今は家族だけで支えること、又は専門職だけで出来ることには限界があります。
これまでの家族が抱え込んで、仕方がない、何もできないからと問題に対処するだけの問題対処型のケアではなく、これからは専門職が1つになって、問題の原因となる作られた障害を改善し、なじみの環境で自分らしく生活が出来るよう、可能性に目を向けたケアが必要です。